離婚による売却

2016年 4月25日
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1.増え続ける離婚とそれに伴う売却

総務省の統計調査発表によると、日本国内での平成26年の婚姻件数は約64万件、それに対して離婚件数は22万件と、実に婚姻数の3分の1以上の離婚が行われていることとなります。
現代は、「必死で離婚を我慢して一生添い遂げる」という時代では無くなっていることが分かります。
その離婚したご夫婦が持ち家を所有しているケースはかなり多いと思われますが、当然ながら離婚に伴ってその持ち家を売却されるケースも多くなっております。
ここでは、離婚による売却の注意点を解説して参ります。

※離婚そのものの注意点や相談については、ウルイエの姉妹サイト、「こうべ離婚相談あんしん.net」をご覧下さいませ。

2.離婚による売却は何かと難しい

離婚が決まり、持ち家に住み続ける理由が無くなったので売却しようという方は多いのですが、転勤による売却、住み替えによる売却等と違い、何かと難しい点が多いのが離婚による売却です。
何より、精神的にポジティブな作業では無いと言うのが一番の理由かも知れませんが、それ以上に色々と制限が有りますので、ケースごとに解説します。

①夫婦間の財産分与が伴うのでトラブルになるケースがある

結婚してから購入した不動産については、名義の如何に拘わらず、離婚時には夫婦の財産分与の対象となりえます。
以下の各ケースでも解説致しますが、住宅ローンがある場合等は、売却によって現金が残るのか、借金が残るのかによって、財産分与の内容も当事者の希望も変わってくることから、夫婦間にてトラブルに発展する可能性が有ります。
これを回避するためには、事前に離婚協議書等で持ち家の売却処分する際の財産分与等の方法をしっかりと協議しておく必要があります。

また、査定や売却依頼を行う不動産会社が、離婚による売却に詳しいかどうかも見て行く必要があります。単に「売ります!」という不動産会社の意気込みだけでは通用しないのが離婚による売却です。

②離婚による売却~夫(妻)単独名義の場合

この場合が離婚による売却のケースでは、最も手続きがスムーズに進みやすいケースです。
名義人である夫(妻)が主体となって売却を進めて行くことになり、基本的には通常の「不動産売却の流れ」にのっとって手続きを進めて行くこととなります。

ここでの注意点は、既に別居などをしていて、名義人ではない方の妻(夫)や子どもが居住している場合、売却によって本当に物件を決められた期日に空家にして引渡しをしてくれるかどうか、ということです。
名義人の夫(妻)だけの考えで売却を進めても、実際に居住している方の協力が無ければ、査定・売却活動(内覧など)・引渡し等が進まず、最悪は買主から違約金請求を求められるケースもありますので、フライングは禁物と言えます。

②離婚による売却~夫婦共有名義の場合

このケースが最も売却を行う必要性が高いが、最も難易度が高いと言えるケースです。
夫婦共有名義の持ち家なので、夫婦が協力して売却活動を行う必要がありますが、それまでの離婚協議の中で関係性が破綻していることも多く、中々意思疎通が上手く進まないケースが見られます。
中には、ご夫妻が売却活動から契約・引き渡しまで、一切顔を合わせないで手続きしたいというケースもございます。(勿論、一定の方法によりそれは可能です)
この辺りはまさしく、離婚による売却に詳しく、信頼のおける不動産会社に任せることで、双方の意見調整や手続きをリードしてもらうことが肝心になります。
不動産会社には未婚の若い営業マンも多く、その辺りの夫婦間の調整や離婚そのものへの知識が欠落していることも多いので、しっかりと見極めて売却の依頼をしましょう。

③離婚による売却~夫婦や親戚への名義移転

離婚による売却の説明とは少し主旨がずれるかも知れませんが、離婚するご夫妻の中には、往々にして「どちらか一方がそのまま住み続けたい」という希望があり、それが名義人以外の要望で有る場合にどのようにこの不動産を処理すれば良いかという問題に直面することがあります。
この点については、売却を伴わないので、不動産会社はあまり親身になって相談には乗ってくれないかもしれませんが、ウルイエでは色々な理由の方がサイトを閲覧して頂いておりますので、詳しく説明します。

A.名義人の夫(妻)から妻(夫)へ名義変更したい場合(共有の場合を含む)

このケースは、売却ではなく、「財産分与による名義変更」ということになります。
離婚による財産分与であれば、原則として贈与税が課税されませんので、自己の持分を相手方配偶者に無税で移転できるというメリットが有ります。
但し、住宅ローンの残債がある場合には事情が変わってきます。
基本的には銀行の許可が無ければ名義を勝手に移転することができませんので(銀行との契約上できない)、銀行に離婚に伴い自己名義の持分を相手方に財産分与として移転することにつき許可を得る必要があります。この際、銀行は、財産を受け取る側、つまりは住宅ローンを引き継ぐ側が返済する資力があるかどうかを審査して可否が決定されますので、専業主婦の奥様が、財産分与で夫から持ち家を引継ぎたい、という場合には、大抵のケースで銀行の許可が下りないこととなります。
この場合に、以下Bの選択肢を取ることがあります。

B.名義人の夫(妻)から、親戚が買い取る場合

例えば、離婚して夫名義の持ち家を売却はせず、妻と子ども達が引き続き居住したいが、妻が離婚時に専業主婦であることから、銀行の名義変更と債務引き継ぎの許可が得られない場合などに、代替案として妻の親戚が自己名義でその持ち家を夫から買い取るというケースがあります。
この場合は、財産分与ではなく、売却となりますので、不動産会社に形式上は仲介を行ってもらう必要があります。
この場合は、妻の親やきょうだいが買主になることが多いと思います。現金で購入できる場合には何らの問題は有りませんが、その際に住宅ローンを利用したい場合には、難易度が上がります。
というのは、銀行は住宅ローンの適用を、本来親戚縁者同士の売買には行いたがらないという傾向があります。(相場より高い金額で売買して、現金が還流されるのを防ぐためです)
その為、同姓が売主・買主になる案件には、銀行はどうしてもそういった疑いの目を向けてきます。
この点、先ほどの例では、夫と妻の親戚は姓が違うことが一般的なので、通常の売買として銀行ローンを適用できる可能性は高くなります。

いずれにしても、仲介を依頼する不動産会社には専門的な知識が必要です。また、このケースで不動産会社に仲介を依頼する場合は、当事者間で出来上がっている話なのに売主・買主が通常の正規手数料を双方共支払うというのは負担が大きいので、交渉して仲介手数料を値引きしてもらうという方法も有ると思います。

3.ここでも忍び寄る不動産会社の買取提案

離婚による売却は、当事者にとってはそれが離婚成立に係わる行事となっていたり、離婚後にずるずると続く行事になったりすることから、「早く終わらせてしまいたい」と考えていることが多く、この点に一部の不動産会社は「業者買取提案のチャンス」ということで、積極的に「離婚による売却だから」という理由で業者買取を勧めてくるところがあります。
勿論、

「早く終わらせたいから安くても良い」

このように考えておられるかたは、業者買取に迷わずお進み下さい。確かに業者が熱心に言うように、ご近所さんに売却活動していることも知られませんし、希望したタイミングで現金を手にすることが可能です。 ですが、不動産業者が「離婚による売却だから安くなってしまうので業者買取でどうですか?」という提案をしてきた場合には、ハッキリと断言しますが、

「離婚だから安くなる」ということは有りません

のでご安心下さい。
ただ、個人情報保護が重要視されている今日であっても、買主や購入候補者に対して売主様の売却理由を但しく告げることは不動産業界では必要とされており、「売主様は離婚による売却です」と買主へ告知を行う必要はあると思います。
それ自体を一部の購入者は敬遠されることは実際あります。例えば「新婚さん」などは、離婚による売却の物件の購入を敬遠しがちです。
ですが、それは「価格が安くなる」という理由にはなりません。先ほどの新婚さんは、例え安いからといって買う訳では有りませんよね。

なので、離婚による売却だからといって、価格が他の物件に比較し大幅に安くなることは有りませんので、大切な財産を出来るだけ高く売却し、お互いが納得した形で財産分与を行おうと考えておられる方は、安易な業者買取の提案は乗るべきでは有りません。
適正な価格での成約を目指して頑張りましょう。

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