２つの査定方法

査定には、主に２つの方法がございます。

机上査定

１つ目は査定を依頼する不動産会社に実際に現地を見てもらうことなく、ご所有不動産の情報（所在地・広さ・構造等）だけで、査定金額を算出してもらう「机上査定」という方法です。
机上査定のメリットは、不動産会社の訪問を受けないので、まだ具体的に売るか売らないか分からない段階でも気軽に依頼することができるということです。デメリットとしては、実際に査定不動産を見てもらっていない状況での査定であることから、マンションや一戸建の場合には、お部屋の内装や設備のコンディション等が分からない中で査定価格を算出しなければならないことで、若干、正確性に欠けるということです。

もし、室内の内装・諸設備のコンディションや、リフォームの実施状況、日当たりの良し悪し等をしっかりと価格に反映してもらいたい場合には、２つ目の査定方法である「訪問査定」がオススメです。

訪問査定

実際に不動産を見てもらって価格を算出する「訪問査定」は、建物維持状況や修繕履歴、日当たり等のロケーションまでしっかりと価格に反映して貰えるので、査定価格がより実勢価格に近いというメリットがあります。
また、査定を担当して貰う不動産会社の営業マンが、通常はそのまま売却活動を行う担当者になることから、その営業マンの人となりや熱意も実際に顔を合わせることで、判断しやすくなります。
まずは机上査定をしてざっくりとした金額を知り、後日、訪問査定を受けてより詳細な売却相談を行う、という段階を踏むのも良いかと思います。

具体的な査定手法について

次に、不動産会社がどのような査定手法を用いているか、ご説明させて頂きます。
不動産会社が用いる査定手法には大きく分けると２つあります。
「取引事例比較法」と「収益還元法」と呼ばれるものですが、「収益還元法」は収益を生む不動産に関する査定手法なので、通常のマンション・一戸建・土地等の物件については、その殆どが「取引事例比較法」を用いて査定価格が算出されております。
その「取引事例比較法」とはどのような手法かと言いますと、読んで字の通りで、「（他の）取引事例（と査定物件を）比較（する方）法」ということです。
査定物件の近隣（近くにある）・類似（似ている）・直近（できるだけ最近）の取引事例物件と査定物件を比較して、査定物件の価格を導き出します。

たとえば魚屋で鯛を買う時、同じくらいの大きさ、同じ産地の鯛であれば、同じ時期に買えば価格はどこのお店でも基本的に似ているはずですよね。
不動産も同じで、３年前の成約価格と今の成約価格では相場が異なっている可能性がありますが、同じ時期であれば、似たようなお部屋は同じくらいの金額で売れる可能性が高いということです。

この方法を用いて査定価格を導き出す場合、本来であれば、何社の価格査定を受けても、金額は同じようなものであるはずです。

それがどうして「Ａ社は３０００万」「Ｂ社は２７００万」「Ｃ社は３５００万」という風に、査定価格にバラつきが生じるのか、これは査定価格に対して査定をする不動産会社が意図的に「価格を下げよう」「価格を上げよう」と細工をしている可能性があるからです。
これを見抜くのはなかなか難しいことですが、一つの方法として、複数社の査定を受ける、というのが良いかと思います。１社だけの査定だとその価格が適正かどうかが見えないからです。

一括査定について

複数の不動産会社に一斉に査定を依頼する方法として最近流行っているのが、「一括無料査定」という方法です。不動産査定だけではなく、自動車の買取、引越し、リフォーム等、今は何でも一括査定システムが全盛を誇っています。
この一括査定、確かに大変便利なものですが、実際に活用する前に、必ず知っておいて欲しいことがあります。

それは「あなたの個人情報が売買されている」ということです。
このように書くと何か、個人情報が漏えいしていたり、法律違反が行われているように思えてしまうかもしれませんが、別に個人情報が漏えいしたり、法律違反が行われているわけではありません。

ただ、「一括無料査定」の「無料」とは、依頼をする皆さまにとっては無料ですが、査定をする不動産会社にとっては無料ではなく、査定をする不動産会社は、一括無料査定の運営会社に対して、皆様の査定情報をおカネで買っているのです。 つまり、皆様の不動産査定という極めてパーソナルな情報が、複数社に売却されているということになりますので、気軽に依頼できる、という裏にこの事実があることは知っておくべきかと思います。

査定価格が高い会社＝高く売ってくれる会社ではない

一括無料査定を行っているサイトは現在ではかなりたくさんあり、どこの一括無料査定サイトを使おうか迷ってしまう方も多いかと思いますが、これらの一括無料査定サイトの殆どが「一番高い査定をしてくれる会社が見つかる」ということをセールストークにしているように思います。最初にハッキリと申し上げておきますと、

「査定価格が高い会社＝高く売ってくれる会社」

ではありません。
一括無料査定を利用する目的は、査定の高い会社を見つけることではありません。
これが中古車買取の一括査定サイトであれば、実際に提示した業者がその金額で買い取ってくれるわけですから、一番高い値段を出してくれた業者に自動車を買い取ってもらえればよいと思います。

ただ、不動産の査定の場合、「売れるであろう金額」を知らせるのが査定ですから、実際にその金額で買ってくれる買主を見つけるのは、次のステップであり、査定価格が高いからといってその会社が一番高い買主を見つけてくれるわけではないのです。他の一括査定とこの点は根本的に異なりますので、

「Ａ社よりＢ社は５００万も査定が高いからＢ社に売却を依頼しよう」

と考えるのは早計です。
また、先ほどの査定手法の説明でも触れましたが、本来、取引事例比較法を持って各社が査定を行えば、差は出ないはずですから、５００万も査定が高いというのは、何か裏があるのではと疑ってかかってもよいくらいなのです。 この場合の「裏」とは大抵の場合、「高値査定でとにかく売却依頼を貰って、後日、売れないからといって値下げをさせる」というケースが多いのです。ひどいですね。

「査定価格の高さを売りにしている不動産業者は怪しむべき」

と言っても過言ではありません。
一括査定を利用する場合、査定をする不動産業者はあなたの査定情報を入手するためにおカネを支払っているわけですから、売却依頼を貰うために、あの手この手と必死になっています。本当に信頼できる依頼先か、嘘偽りのない査定価格であるか、しっかりと見極めて選択しましょう。